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谷田幸次インタビュー (第3回):人のこと

理科や実験が好きな子供でしたか ?

はい、好きでした。自分でも理科系の人間だったと思います。

しかし高校での化学は大の苦手で、好きではありませんでした。それでも理科系の方に行きたいという思いがあったので我慢して勉強はしていました。

学生時代に化学は苦手だったので、今でも化学出身の若い人たちから教えて貰うこともたくさんあります。

科学の道をいこうと決めたのはいつ頃ですか ?

私は学生の時には勉強そっちのけで登山ばかりしていたので、優秀な学生ではなく、「この道で行こう!」というような崇高な考えはありませんでした。

会社に入って水銀測定装置の開発に携わるようになり、それを学びながらも色んな分岐点があって、その結果として現在の自分の位置に居るといった感じです。

水銀測定の特殊な応用例ということになりますが、業務の一環としておこなった『水銀濃度を利用した火山活動の災害予知』や『水銀濃度を利用した地下資源調査』などのフィールドワークは、登山好きの私にとっては楽しいものでした。

地表での水銀濃度を量ることで地下に熱源があるかどうかを予測出来るのです。これは従来のボーリングや航空写真から予測する物理的探査方法では費用が掛かる上に確率としては2割程度なのに対し、化学的探査では同じ程度の確率で費用が抑えられるという特長があります。

以前に大学の先生やお客様と北海道から鹿児島まで、あちこちの場所を地熱の調査で回りました。
地熱調査をするようなところは温泉地が多くて、フィールドワークが終わった後には、温泉に入ってお酒を飲んで語り合うということをしました。

私としてはそれが測定装置の納入作業ということだったりもしますし、先生たちとの話の中から今後のニーズを掴むという良い経験にもなりました。

水銀測定装置を背負って火山活動調査をする谷田幸次(三原山)

分析や実験で行き詰まった時には何をしますか ?

当然ながら行き詰まることはあります。

そういう時は、兎に角どこかに見落としはないか、どこかに解決の糸口はないか、ともう一度最初に戻ったり、ノートを何度も繰ったりします。

それでもダメなものはダメで「これは測定出来ません」という結論を出すかもしれませんが、ラボのメンバーと何度もしつこく挑戦してみて『こういう条件であれば測定出来る』というところまで持っていくような努力, 工夫をしています。1~2回やってダメだからギブアップするなんてことは、弊社の場合は有り得ません。

例えばヨウ素などの妨害元素が多く含まれている物質は普通の方法では測定出来ませんが、「測定は難しいですが、やらせてみてください」とお受けする場合もあり、そういった物に関しては、色んな方法で何度もチャレンジしてみて、粘り強く測定を繰り返します。こういう条件でこういう範囲であれば測定が可能です、という答が出る時もありますし、残念ながら諦めざるを得ない時もあります。

昔は簡単に測定出来る物質が多かったのですが、だんだんと難しい物が増えて来ていて、常に苦しんでいるような状態です。
反面そういう物はやりがいもあって、若手が試行錯誤を繰り返して取り組む経験としても良い題材になります。

昨日出来なかったものが今日出来るようになるということもあり、そんな時は報告に来る時の顔つきがパッと晴れていて明るくなっています。

そういったことの積み重ねが、本人の自信にも繋がっていくように思われます。

仕事をする上で常に心掛けていることは何ですか ?

ずっと会社のデスクの前に座って居ても良い物は作れません。

外に出てお客様と接することが物作りの上で大切だというのが私の持論です。

自分が作った物がどういう使われ方をしているかも分からない、何か不具合があるかもしれない、改良すべき箇所があるかもしれない、こういった機能が欲しいと思っているかもしれない、そういったことは外に出てお客様の生の声を直接聞いてこそ、はじめて設計に反映されると確信しています。

そうでなければ独りよがりで自画自賛だけの物作りになってしまい、新しい物を作ることが出来ないと思っています。

登山 (岩登り) の魅力を教えてください。

私は学生の時から登山をやっていて、30歳代後半からは岩登りを始めました。

岩登りの魅力は、克服した時の “達成感” も当然あるのですが、登ってる最中は家庭も仕事もストレスも何もかもを忘れて “頭を真っ白に出来る” ということです。

岩登りは怪我や死と隣り合わせで、登ってる時も「落ちたらどうしよう…」「あのピンが抜けたらどうしよう…」「ここで滑ったらあの岩に激突する…」という大きな恐怖感があります。その恐怖感故に他のことを全て忘れて、頭を真っ白に出来るというその瞬間が病み付きになったところです。

そうやって無我夢中で必死になって登れた時に「よしっ!やったぞ!」という達成感が沸いてきます。そういうところに惹かれたのだと思います。

フリークライミングのゲレンデは25メートルぐらいなので、時間でいえば僅か10分ほどのものなのですが、何もかも忘れて黙々と登るのはとても楽しいです。

事故の可能性もある訳ですから私が岩登りに行くことを家族は心配していますけど、岩登りに出掛ける前と帰って来てからでは顔つきが違って、憑き物が取れたように穏やかな顔になっているそうで、闇雲に反対は出来ないと思っているようです。

体力勝負のスポーツでは若い人には敵いませんけど、岩登りは半年掛けても登れなかったルートが、ある日登れるようになることもあり、この年齢になっても成長出来る実感を得られるところも面白さのひとつです。

岩登りをする谷田幸次

谷田さんの好きな言葉を教えてください。

私はスマートでかっこいい生き方ができませんでしたし、器用に立ち回れたこともありません。

しかし、仕事には真っ直ぐに取り組み、生きることにも真っ直ぐでありたいと考えています。そういう質(たち)なので変えることも出来ないし、変えたいとも思っていません。

愚直――。これが私谷田幸次の好きな言葉です。

谷田幸次の好きな言葉


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